こんにちは!
管理栄養士のつじです。
「にんじんって変な“においがする”から嫌い…」
「いろどりはいいけど、案外つかう料理がなくて、冷蔵庫の中でほったらかしになりがち…」
というお悩みを聞くことも多い“にんじん”。
そう思って【食べず嫌い】や【つかわない】のは、もったいないです!!!
実は…
からだにとっていい働きを持つ栄養素もたっぷり含まれていますよ!
特徴とともに役立つ豆知識もお届けします。
昔の人が食べていたにんじんは、今と同じオレンジ色でしょうか?
クイズは最後に答え合わせをします!!
ではでは!にんじん編、スタート♪♪
にんじん 基本情報
にんじんは、世界的に栽培されている緑黄色野菜です(※)。
※緑黄色野菜とは…
原則として食べられる部分100g中に600μg以上の
β-カロテン(後で詳しく説明)が含まれている野菜のこと。
むずかしいので、簡単に言うと…
切った時の断面が濃い野菜=緑黄色野菜です。
東洋系と西洋系に大別され、東洋系はヒマラヤ西部、西洋系はアフガニスタン地域が発祥と考えられています。
ヨーロッパに伝わったのが、12世紀。
なんと、その時は今のにんじんとは異なり、むらさき色で長かったそうです。
日本にやってきたのは、中国を経て17世紀ごろ。
(江戸時代のはじめごろが17世紀なので、歴史上の人物たちも食べていたかも?)
江戸時代には、今ではほとんど見かけないような【黄】、【赤】、【白】、【むらさき】などの東洋系の品種がありました。
わたしたちはそれを食べているわけではなく、現在一般的に流通していて、食べているにんじんは、ヨーロッパで改良された西洋系の【西洋にんじん】です。
1年中スーパーで見かけますが、旬は“春”。
寒冷地では秋ごろに収穫されています。
あとで、栄養や野菜のパワーについては詳しくお話ししますが、にんじんと言えば【β-カロテン】です。
β-カロテンは、体内でビタミンAとなり働きます。
夜間の目の健康維持、皮膚の粘膜や免疫機能を正常に保つためにも必要な栄養素です。
特徴として覚えておいてくださいね!
にんじんの品種
先ほど東洋系と西洋系にわかれるとお伝えしましたが、
その中にそれぞれ品種があります。
詳しく見ていきましょう♪♪
まずは、わたしたちが一番よく食べるにんじんから!!
- 五寸にんじん(ごすんにんじん)
西洋系の品種のひとつ。
大きさ・見た目ともにもっともポピュラーで、品質もよいです。
涼しい土地では秋に収穫されます。
ありとあらゆる調理に適しています。
長さ:約15~20cm
利用方法:調理方法全般
旬の時期:8月~10月(寒冷地など)
そのほかのにんじんも見てみましょう!! - 金時にんじん(きんときにんじん)
真っ赤な色みのにんじんで、日本では数少ない東洋系の品種です。
おせち料理の食材として、お正月の時期に出回ります。
長さ:約30cm
利用方法:おせち料理、煮物など
旬の時期:11月~翌年4月ごろ - むらさきにんじん
外側はむらさき色ですが、内側はオレンジ色のものと、内側までむらさき色のものの2種類があります。
いずれも甘みが強いのが特徴です。
長さ:約20cm
利用方法:生食
旬の時期:5月~6月、10月~12月 - 島にんじん(しまにんじん)
沖縄県だけで栽培されている品種です。
色は鮮やかな黄色で、非常に長く収穫時には40cmほどになります。
長さ:約40cm
利用方法:イリチ―(沖縄の炒めもののこと)、天ぷら、浅漬けなど
旬の時期:12月~翌年3月 - ベビーキャロット
ミニにんじんと言われるにんじんの小型品種のひとつ。
加熱調理も短時間でできるというメリットもあります。
形を活かして、サラダやおかしにつかわれることもあるようです。
長さ:約10cm
利用方法:サラダ、炒めもの、おかしなど
旬の時期:4月~7月、10月~12月
ここで紹介した以外にも、熊本県の伝統野菜である「熊本長にんじん(くまもとながにんじん)」、「三寸にんじん(さんずんにんじん)」、色味の異なる「ホワイトにんじん」、「金美(きんび)(金美は黄色のにんじん)」などさまざまなものがあります。
数百年前は、今ではめずらしい“ほかの色”のにんじんも多かったということがわかりましたね!
にんじんと言えば【オレンジ】は、今を生きるわたしたちだからこそ感じることだったんだなぁーと・・・。「にんじん力」がみなさん上がってきましたね♪♪
にんじんに含まれる栄養成分
先ほどにんじんと言えば…
【β-カロテン】とお話ししましたよね!
β-カロテンが多く含まれているのはもちろんですが、ほかにも栄養素が含まれています。
詳しく紹介します。
β-カロテン
抗酸化作用を持つ栄養素です。
体内でビタミンAとなり働きます。
ビタミンAはあぶらに溶ける脂溶性ビタミンのひとつ。
また、カロテノイドの一種で、にんじんの色みに関わります。
夜間の目の健康維持や、皮膚の粘膜や免疫機能を正常に保つためにも欠かせません。
ビタミンB6
水に溶ける水溶性ビタミンのひとつです。
ビタミンB6は腸内細菌によって、一部わたしたちの体内でもつくられますが、それだけで十分ではないので、外から補う必要が。
たんぱく質の代謝に関わる栄養素です。
葉酸
こちらも水に溶ける水溶性ビタミンです。
ほうれん草の葉からとれたため、このような名前になりました。
血液をつくる上で重要な働きをする栄養素のひとつ。
また、DNAの合成などにも必要とされるので、胎児の成長に欠かせません。
妊娠を考える方、妊娠中の方は、積極的にとりましょう。
カリウム
ミネラルのひとつです。
ナトリウムとともに、からだの水分量や筋肉の収縮の調節に関わります。
にんじんに含まれる栄養素について紹介しました。
“にんじん”だけを見てもさまざまな栄養素が入っているとわかったと思います。
にんじんを食べるとどういいの?
年齢とともに、からだに不安を抱えますよね…。
よく「あぶらが酸化すると良くない」と聞くと思いますが、わたしたちのからだも一緒です!
なんども言っているように、にんじんには【β-カロテン】が多いので…
【抗酸化作用が強い!!】
酸化に抗う(あらがう)力が強い“にんじん”なので、からだの中から若々しさをサポートしてくれます。お正月に食べる金時にんじんは、普段食べるにんじんより赤いですよね!
こちらにはさらに、リコピン(カロテノイドの一種)という抗酸化作用を持つ栄養素も含まれますので、苦手な人も多いと聞きますが、しっかり残さず食べましょう♪♪
抗酸化についてしっかりお届けしましたが、もちろん先ほどお届けした栄養素の働きも含まれます。
ご安心くださいね!
にんじんパワーを余すことなく活用!
にんじんと言えばなんども出てきている【β-カロテン】。
復習ですが…
【体内でビタミンAに変わります。】
ビタミンAは、あぶらに溶けやすい脂溶性ビタミンですので、効率よくとるには、あぶらと一緒に調理するようにしましょう!
ステーキに添えられているにんじんは、バターでソテーされている「グラッセ」ですので、理にかなった食べ方と言えますね!
わたしはにんじんを日々どんな料理にも入れるのですが、周りで話を聞くと、「カレー」や「豚汁」にしかつかわないと言う方が多くびっくりしました。
ここまで栄養のことを学んだみなさんであれば、毎日の料理に活用したいと思ってくださっているはず!
わたしがおすすめするにんじん活用法をお届けします♪♪
まずは選び方!
- ものを選ぶ前に…
わたしが気をつけているのは、「野菜に強いお店を見つける(鮮度がよいものが手に入るため)」、「あまりつかわないなら1本単位で買う」。
あまりつかわないと特にですが、鮮度がよくないところで買うと、すぐに傷んで捨てることになってしまいます。
また捨てることになるかも…と思うと、人間心理として、次からそれをつかわないようにしようとなってしまい、その野菜をつかわなくなります。
そのようなことを防ぐためには
「野菜に強いお店を見つける(鮮度がよいものが手に入るため)」
「あまりつかわないなら1本単位で買う」
を徹底しましょう!
(あくまでわたしの体験談です 笑)
お店での選び方 - 赤みのある鮮やかなもの
- 表面がなめらかなもの
- にんじんの芯の大きさが"小さい"かつ"中心にある"もの
- にんじんの側面の白い筋(即根)が均一になっているもの
を意識しましょう!
長持ちする、おいしいにんじんを手に入れたら、あとは食べるだけ!
簡単レシピもお伝えしますね!
もちろん【あぶら】をつかったレシピです♪♪
簡単に“サッ”とつくっていただきたいので、量は適当でだいじょうぶ!
~にんじんのごま油炒め~
- にんじんをよく洗う
皮のすぐ下にβ-カロテンが多いので、皮付きのままがおすすめ。
そのままつかう時は、いつも以上にしっかり洗いましょう。
※そのままつかうことに抵抗がある方は、ピーラーや包丁で皮をむきましょう。 - できれば細切りにする
切り方は適当でかまいません。
細くなくてもなんでもOK!
細い方が【あぶら】がしっかりからみ、よりおいしくなります。 - 炒める
フライパンにごま油をひいて、にんじんを炒めます。
細切りにしておく方がさっと火が通るので、火をかけることによる他の栄養素の損失も少なくてすみます。
塩・中華だしを少量加え、味をととのえます。(適宜おしょうゆを加えてもおいしいですよ。) - ごまをまぶす
火を止めてから、ごまを適量まぶします。
(多ければ多いほどごまの風味は強くなります。)
消化の観点からいうと、いりごまよりすりごまの方がおすすめ。
すりごまがない場合は、自身で先にすっておくか、食べる時にいつも以上によく噛んで食べるようにしましょう。 - 完成
おいしく食べましょう♪♪
選び方や、鮮度がよいものを見つけることで、2週間以上日持ちする期間が変わることも!
(材料を一気につかえない一人暮らしだからこそ身についた知恵です。)
明日つかえる!にんじん雑学♪♪
にんじんについて学んだので、にんじんこぼれ話もお届けします。
栄養の知識だけでは見ていて疲れると思いますので、ここはリラックスして見てください♪♪
明日、誰かに話したくなる話もあるかも!?
- にんじんの種まきの特徴
にんじんを育てようと思った時、ひとつずつを大きく育てたいと思うと、間隔をあけて種をまく方がよいと思いませんか?
実はにんじんは【集団でまく】が鉄則!!
なぜかというと、集団でまくと、となり同士が競い合って、よく発芽し、その後の生育もよくなりからだそうです。
その中で、特に生育状態のよいものを残し、ほかのものを間引き(まびき)ます。
そして、残したものを大きく育てるのです。
- 最近のこどもたちに“にんじん嫌い”が少ないわけ
毎日の料理につかいますが、実はわたしもあんまりにんじんが好きではありません。
わたしが小学生のころは周りにも好きじゃないという子が結構多かったです。
明日、誰かに話したい雑学はありましたか?
にんじんのことをいろいろな面から見ることができたと思います!
まとめ
本日は、にんじんの魅力についてお届けしました。
まとめると…
- 現代で一般的に食べられているにんじんは、西洋系のにんじん
- 黄、赤、白、むらさきなどのにんじんもある
- にんじんと言えばβ-カロテンであり、皮のすぐ下に多い
- β-カロテンは、体内でビタミンAとなる(ビタミンAはあぶらととると吸収率アップ)
- 調理する際は、あぶらをつかおう
今までにんじんをあまり食べなかった方や、どうつかってよいかわからなかった方も、食べてみたくなったのではないでしょうか。
食べてみたいと思った方は、ぜひとも紹介した【あぶら】をつかった調理法で食べるようにしてくださいね!
栄養もしっかりとれますよ♪♪
野菜は大半の方で不足しているので、工夫して日々の食事に取り入れていくことが大切です。
【からだをつくるのは口からとったものだけ】
あたり前のことですが、年齢を重ねるほど忘れがち…。
自分自身の未来のため、かがやく毎日のために、今日から“にんじんも取り入れた野菜生活”を♪♪
※にんじんだけでなく、さまざまな野菜をバランスよく取り入れましょう!
◇◆クイズのこたえ◇◆
こたえは…
【黄】、【赤】、【白】、【むらさき】でした。
今回は簡単でしたね!